【日常英会話】日本語解説あり | 「静かすぎる」と思った結婚式で、最後に泣いた話|ご祝儀・神前式・花嫁の手紙で学ぶ英語表現 #英語学習 #英語フレーズ #英会話 #英語耳
ポッドキャスト「すきまイングリッシュ」のスクリプト。「【日常英会話】日本語解説あり | 「静かすぎる」と思った結婚式で、最後に泣いた話|ご祝儀・神前式・花嫁の手紙で学ぶ英語表現 #英語学習 #英語フレーズ #英会話 #英語耳」の会話全文です。
さゆり: 今日は、サラが日本の結婚式に初めて出たお話です。ニューヨークで何十回も結婚式に出てきたサラが、東京の披露宴で完全に固まってしまった一日です。
Marc: Sarah, you have been sitting on this story for months. The Japanese wedding. (日本語訳: サラ、その話、何ヶ月も温めてたよね。日本の結婚式のこと。)
サラ: I have. And I did not know how to tell it, because it changed my mind halfway through. (日本語訳: そうなんだ。どう話せばいいか分からなかったんだよ。途中で考えが変わっちゃったから。)
Marc: Changed your mind how? (日本語訳: どういう風に考えが変わったの?)
サラ: I walked in thinking it was going to be cold. I walked out thinking it was the most emotional wedding I have ever been to. (日本語訳: 寒い感じの式になると思って入ったんだけど、出てくる頃には今までで一番感動的な結婚式だったって思うようになったんだ。)
サラ: And the whole thing happened in about four hours. (日本語訳: それが全部、4時間くらいで終わったんだよ。)
さゆり: サラが招待されたのは、職場の先輩、ケイコさんの結婚式でした。以前、仕事を言葉ではなく「見せて」教えてくれた、あの先輩です。
Marc: Wait, Keiko-san? The one who made you watch her work for three weeks? (日本語訳: え、ケイコさんの? 3週間も彼女の仕事ぶりを見させたあの人?)
サラ: That is the one. And getting that invitation meant more to me than I can explain. (日本語訳: そうだよ。で、その招待状をもらったことが、説明できないくらい私にとって大きな意味があったんだ。)
サラ: She invited four of us. And I was one of them. I sat down on my kitchen floor and read it three times. (日本語訳: 彼女、私たち4人を招待してくれたんだよ。で、私もその一人で。キッチンに座り込んで、3回も読んじゃった。)
さゆり: 今日は、その招待状が届いた日から、帰りの電車の中まで。準備、挙式、披露宴の三段階で聞いていきましょう。
Marc: So start at the invitation. What did it look like? (日本語訳: じゃあ、招待状から話してよ。どんな見た目だった?)
サラ: Thick. Heavy. It came in the mail, and it was a proper envelope with my name written by hand. (日本語訳: 分厚くて、重厚感があった。郵便で届いたんだけど、ちゃんとした封筒に手書きで私の名前が書いてあったんだ。)
サラ: And inside there was a card, and a second card, which was a reply postcard I was supposed to send back. (日本語訳: それで中にはカードが1枚と、もう1枚カードが入ってた。返信用ハガキで、返送するやつ。)
Marc: A postcard you fill out and mail back? (日本語訳: ハガキに記入して、送り返すやつ?)
サラ: Mail back. And there were characters on it I had to cross out, and characters I had to add. (日本語訳: そう。で、それに書いてある文字で、消さなきゃいけない文字と、書き足さなきゃいけない文字があったんだ。)
Marc: Cross out? (日本語訳: 消さなきゃいけない?)
サラ: You cross out the polite words that refer to yourself. Because you do not use honorifics about your own name. (日本語訳: 自分自身 referring する丁寧な言葉を消すんだよ。だって、自分の名前に対して敬語は使わないからね。)
Marc: I did not know that. I have gotten those and I just wrote yes and mailed it. (日本語訳: 知らなかったな。俺もそういうの貰ったことあるけど、ただ「はい」って書いて送っちゃったよ。)
サラ: Marc. Seriously. (日本語訳: マーク。マジで?)
Marc: I know. Believe me, I get it now. (日本語訳: 分かってるよ。信じてよ、今なら分かる。)
さゆり: 返信はがきのマナーですね。自分に対する敬語、「御」や「ご芳名」の部分に線を引いて消してから返す。日本人でも迷う人がたくさんいます。
サラ: Mia walked me through it on a video call. That took twenty minutes. And then she said, okay, now the real part. (日本語訳: ミアがビデオ通話で手伝ってくれたんだ。それで20分くらいかかって。「よし、じゃあ本番ね」って彼女が言ったんだ。)
Marc: The real part? (日本語訳: 本番?)
サラ: The money. (日本語訳: お金だよ。)
Marc: Oh. The envelope. (日本語訳: あ、封筒のことね。)
サラ: The envelope. In New York, you buy something off the registry, or you write a check and put it in a card, and nobody is counting. (日本語訳: そう、封筒。ニューヨークだと、レジストリで買ったものか、チェックを書いてカードに入れて渡すんだけど、誰も金額なんて数えてないんだよ。)
サラ: Here there is an actual expected amount, and it depends on who you are to the couple. (日本語訳: ここでは、実際にある程度の金額っていうのが決まってて、それが二人の相手とどのくらい親しいかによるんだ。)
さゆり: ご祝儀ですね。友人や同僚なら三万円が全国的な基準です。上司なら三万から五万円、兄弟姉妹なら五万円くらいが目安になります。
Marc: Thirty thousand yen. Okay, what else? (日本語訳: 3万円。なるほど、他には?)
サラ: Odd numbers only. Because an even number can be split in two, and you do not want the idea of splitting anywhere near a wedding. (日本語訳: 奇数だけだよ。偶数だと二つに分けられるから、結婚式に分けるなんて考えは全くもってしたくないじゃない。)
Marc: Oh, that is actually a beautiful logic. (日本語訳: あー、それは確かに美しいロジックだね。)
サラ: Also, no four and no nine, because of how those two numbers sound. (日本語訳: あと、4と9はダメ。その二つの数字の響きからね。)
さゆり: 四は「死」、九は「苦」を連想させるので避けます。偶数は割り切れるから別れを思わせる。だから奇数の三万円が基本になっているんですね。
サラ: And the bills have to be new. Not clean. New. Straight from the bank, never folded, never used. (日本語訳: そして、お札は新札じゃなきゃダメ。綺麗じゃなくて、新札。銀行からまっすぐ来た、折られてない、使われてないもの。)
Marc: Why new? (日本語訳: なんで新札なの?)
サラ: Because new bills say you prepared. Used bills say you grabbed whatever was in your wallet on the way over. (日本語訳: 新札だと、準備したってことにならない?財布にあったものをそのまま持ってきたって感じがするじゃん、使い古されたお札だと。)
サラ: And the envelope itself is not really an envelope, it is a small paper sculpture. (日本語訳: そして、その封筒自体も、実際は封筒というより、小さな紙の彫刻なんだ。)
サラ: And you do not just carry it loose. You wrap it in a silk cloth so it does not get bent in your bag. (日本語訳: それに、そのままバッグに入れるわけでもないんだよ。シルクの布で包んで、バッグの中で折れないようにするんだ。)
さゆり: 袱紗ですね。ご祝儀袋をそのまま入れず、袱紗に包んで持っていく。受付で袱紗から出して、両手でお渡しします。
サラ: And there is a correct way to hand it over. Both hands, and a set phrase you say while you do it. (日本語訳: そして、渡すときも正しい作法があるんだ。両手で、その時に言う決まり文句があるんだよ。)
Marc: What is the phrase? (日本語訳: なんて言うの?)
サラ: Honjitsu wa omedetou gozaimasu. I practiced that in my apartment for two days. (日本語訳: 「本日おめでとうございます」だよ。2日間練習したんだよ、私の部屋で。)
Marc: Two days for one sentence? (日本語訳: 1つの文章のために2日間?)
サラ: Marc, I have bombed enough sentences in this country. I was not going to bomb that one. (日本語訳: マーク、この国でたくさん文章ぶっつけ本番で失敗してきたんだから、あれは失敗したくなかったんだよ。)
さゆり: 「本日はおめでとうございます」ですね。受付でご祝儀をお渡しするときの決まり文句です。二日間練習したと知ったら、ケイコさんも喜ぶと思います。
Marc: Okay, what about what you wore? I am guessing your closet was a problem. (日本語訳: なるほどね。じゃあ、着る服はどう?クローゼットが問題だったんじゃない?)
サラ: My closet was a catastrophe. Mia looked at it and disqualified almost all of it in about nine seconds. (日本語訳: 私のクローゼットは破滅的だったよ。ミアが見て、9秒くらいでほとんど全部ダメだって言ったんだ。)
Marc: Why is that? (日本語訳: なんで?)
サラ: No white. Obviously no white, that part is the same everywhere. But also, not head to toe black. (日本語訳: 白じゃないこと。それはもちろん、どこでも同じだけど。でも、全身黒っていうのもダメなんだ。)
Marc: But black is the safe wedding color back home. (日本語訳: でも、こっちでは黒って結婚式には安全な色なんでしょ?)
サラ: Back home, black is elegant. Here, a woman in all black with no color anywhere reads closer to a funeral. (日本語訳: 向こうじゃ、黒はエレガントなの。でもここでは、色が全くない全身黒の女性は、もっとお葬式に近い感じに見えるんだよ。)
サラ: Ten years of black. My whole closet was disqualified in one sentence. (日本語訳: 10年間黒を着てきた。一言で私のクローゼット全部がお蔵入りになったわけ。)
さゆり: 黒いドレス自体は問題ないんです。ただ、全身真っ黒でアクセサリーもなし、となるとお葬式の印象に近づいてしまうんですね。
サラ: So I bought a navy dress. Knee length, sleeves, nothing shiny, closed shoes. And I bought it two full weeks early. (日本語訳: だからネイビーのドレスを買ったの。膝丈で、袖があって、光沢のないやつ、それにクローズドシューズ。そして、2週間も前に買ったんだ。)
Marc: Two weeks early. Who are you? (日本語訳: 2週間も前に?誰みたい?)
サラ: I did my homework, Marc. For the first time in my life, I did my homework for a party. (日本語訳: ちゃんと調べたよ、マーク。人生で初めて、パーティーのために宿題をしたんだ。)
Marc: And the New York version of you would have. (日本語訳: それで、ニューヨークのサラなら。)
サラ: The New York version of me decided what to wear in the taxi. (日本語訳: ニューヨークのサラなら、タクシーの中で何を着るか決めてたよ。)
さゆり: 「I did my homework」は「事前にきちんと調べて準備した」という意味です。学校の宿題だけでなく、大人の下調べにも使えます。
Marc: Okay. The day itself. Where was it? (日本語訳: わかった。当日のこと。どこだったの?)
サラ: A hotel in Tokyo. And I did not know this was a thing, but some hotels have an actual Shinto shrine room inside the building. (日本語訳: 東京のホテル。それで、そういうものだって知らなかったんだけど、ホテルによっては建物の中に神殿があるんだ。)
サラ: You go down one floor, the doors open, and there is a wooden shrine with about a hundred seats. (日本語訳: 1階下りて、ドアが開くと、木造の神社があって、100席くらいあるんだ。)
さゆり: ホテルの館内神殿ですね。神社の神殿は狭くてご親族しか入れないことも多いんですが、ホテルの神殿なら友人も参列できる会場が増えています。
Marc: So you got to see the ceremony. I have been to two weddings here and I only made it to the party both times. (日本語訳: へえ、儀式も見られたんだ。僕、こっちで2回結婚式に行ったけど、どっちもパーティーにしか行けなかったんだ。)
サラ: I got to see all of it. And it started with a procession. (日本語訳: 全部見られたよ。そして、行列から始まったんだ。)
サラ: Live traditional music. A priest walking in front. And then Keiko-san in a full white kimono, moving at about one step every two seconds. (日本語訳: 生演奏の伝統音楽。前に歩く神主さん。そして、真っ白な着物を着た恵子さん。2秒で1歩くらいのペースで歩いてた。)
Marc: And your instinct was to. (日本語訳: それで、あなたの本能は。)
サラ: My instinct was to make noise. Clap. Cheer. Say something. That is what a bride walking in means where I am from. (日本語訳: 騒ぎたくなるのが本能だった。拍手したり、応援したり、何か言ったり。だって、それが私たちが育った場所では、花嫁が入ってくるってことだから。)
Marc: Right. At my cousin's wedding people were screaming before she was through the door. (日本語訳: そっか。僕のいとこの結婚式では、彼女がドアを通り抜ける前にみんな叫んでたよ。)
サラ: Nobody made a sound. Not one person. I had my hands halfway up, and I put them back down. (日本語訳: 誰一人、音を立てなかった。一人もね。私は手を半分くらい上げたままだったんだけど、引っ込めたんだ。)
さゆり: 参進の儀ですね。雅楽の音の中を、神職に先導されて新郎新婦とご両家が入場します。拍手ではなく、静かに見守るのが作法です。
サラ: And then everyone sat down, and for the next thirty minutes almost nothing happened that I could follow. (日本語訳: で、みんな座って、そこから30分くらい、私は全然ついていけなかったんだ。)
Marc: What do you mean nothing happened? (日本語訳: 何が起こったっていうの?)
サラ: I mean there was no speech I could understand, no vows the way I know vows, no moment where somebody says you may kiss. (日本語訳: だって、私が理解できる言葉はなかったし、私たちが知ってるような誓いの言葉もなかったし、「キスしていいよ」って言う瞬間もなかったんだよ。)
Marc: No kiss? (日本語訳: キスはなかったの?)
サラ: No kiss. There was a priest speaking in very old formal Japanese, a lot of bowing, and sake. (日本語訳: キスはなかった。すごく古い、丁寧な日本語を話す神父さんと、たくさんのお辞儀と、お酒があっただけ。)
さゆり: 神前式は、神様に結婚を報告する儀式なんです。だから誓いの言葉も、参列者ではなく神様に向かって読み上げられます。
Marc: Tell me about the sake, because that is the part I have seen in photos. (日本語訳: お酒について教えて、だって写真で見たことあるのはその部分だから。)
サラ: They bring out three cups, stacked, small to large. Three sips from each one, nine in total. (日本語訳: お猪口が3つ、大中小って重なって出てくるんだよ。それをお猪口ごとに3口ずつ、合計9口飲むんだ。)
サラ: The first two sips you barely touch the cup. Only on the last one do you actually finish it. (日本語訳: 最初のお猪口2つは、ほとんど口をつけないんだ。最後のにして、やっと全部飲み干すんだよ。)
サラ: And everything was that precise. That was the part that got to me, honestly. (日本語訳: 全部がそういう風に正確だった。正直、そこが私には引っかかったんだ。)
さゆり: 三三九度、三献の儀ですね。大中小の三つの盃で、三口ずつ、合わせて九回。三は割り切れない数なので、縁が切れないという願いが込められています。
Marc: So what got to you? The precision? (日本語訳: 何が引っかかったの? その正確さ?)
サラ: The fact that every single movement had a reason, and that everyone in that room already knew what the reason was. (日本語訳: 全ての動きに意味があって、その場の誰もがその意味を知っていたっていう事実。)
Marc: That is a lonely feeling. (日本語訳: それは孤独な気持ちになるね。)
サラ: It was, for about ten minutes. And then I stopped trying to understand it, and I started to follow their lead instead. (日本語訳: そうだったよ、10分くらいはね。でもその後、理解しようとするのをやめて、彼らのやり方に従うことにしたんだ。)
Marc: Meaning what, physically? (日本語訳: どういう意味? 体の動き?)
サラ: When they bowed, I bowed. When they were still, I was still. I copied the woman next to me for half an hour. (日本語訳: 彼らがお辞儀をしたら私もお辞儀した。彼らが静かにしていたら私も静かにしていた。隣にいた女性の真似を30分くらいしたんだよ。)
さゆり: 「Follow someone's lead」は「人のやり方に合わせる」「その人について行く」という意味です。作法が分からないときの最善策ですね。
サラ: And it helped. Once I stopped trying to understand, I could actually look at what was happening. (日本語訳: そしたら、うまくいったんだ。理解しようとするのをやめたら、何が起こっているのか実際に見ることができるようになったんだ。)
サラ: And what was happening was two families sitting on opposite sides of a room, agreeing to become one thing. (日本語訳: 何が起こっていたかっていうと、二つの家族が部屋の両側に座って、一つになることに合意していたってこと。)
さゆり: 神前式は「両家が親族になる契り」でもあるんです。ご親族全員でお神酒をいただく、親族固めの盃という儀式もあります。
Marc: So you walked out of the ceremony thinking what? (日本語訳: それで、式が終わって、どんなことを思ったの?)
サラ: I walked out thinking, that was beautiful, and I felt nothing. And then I felt guilty about feeling nothing. (日本語訳: 「美しいかったけど、何も感じなかった」って思った。そして、何も感じなかった自分に罪悪感を感じたんだ。)
サラ: It was so restrained that I decided, okay, this is a culture that does not do emotion at weddings. (日本語訳: あまりにも控えめだったから、「よし、この文化は結婚式では感情を出さないんだな」って決めたんだよ。)
サラ: And I was completely, spectacularly wrong. I just had not gotten to the part where they keep it. (日本語訳: 私が完全に、見事に間違ってたんだ。ただ、まだその「保管する」っていう部分までたどり着かなかっただけ。)
さゆり: ここから、サラの見方がひっくり返ります。披露宴のお話に行きましょう。
Marc: Okay, the reception. Was it like an American reception? (日本語訳: なるほど、披露宴ね。アメリカの披露宴みたいな感じだった?)
サラ: It looked like one for about four minutes. Round tables, flowers, a stage, a big screen. (日本語訳: 最初の4分くらいはそんな感じだった。円卓に、お花に、ステージに、大きなスクリーンがあって。)
サラ: And then a man in a tuxedo picked up a microphone and started announcing things, and I realized there was a schedule. (日本語訳: そしたらタキシードの男性がマイクを取って何かアナウンスし始めて、それで私は、タイムスケジュールがあることに気づいたんだ。)
Marc: A schedule. (日本語訳: スケジュール?)
サラ: A printed schedule. On the table. With times on it. (日本語訳: 印刷されたスケジュール。テーブルの上に。時間に印がついた。)
Marc: With times. (日本語訳: 時間に?)
サラ: Marc, that reception was timed to the minute. Down to the last detail. (日本語訳: マーク、その披露宴は分刻みで進行してたんだ。最後の細部までね。)
さゆり: 披露宴には司会者がいて、進行表通りに進みます。乾杯、主賓のご挨拶、ケーキ入刀、余興。ほとんど分刻みで決まっているんです。
サラ: But then I noticed something that completely changed how I saw it. (日本語訳: でも、それから、見方が完全に変わるようなあることに気づいたの。)
Marc: What was it? (日本語訳: 何?)
サラ: Everyone in that room had a job. Not just the couple. Everyone. (日本語訳: 部屋にいた全員に仕事があったんだ。新郎新婦だけじゃなくて。全員。)
Marc: Like what? (日本語訳: 例えばどんな?)
サラ: Two colleagues were at the reception desk taking envelopes. Someone gave the opening toast. Someone gave a formal speech. (日本語訳: 受付には同僚が2人いて、ご祝儀を受け取ってた。誰かが乾杯の音頭を取った。誰かが正式なスピーチをした。)
Marc: Okay, so what was the food situation? (日本語訳: なるほど、じゃあ食事はどうだったの?)
サラ: Nine courses. Plated individually. With a printed menu at every single seat. (日本語訳: 9品。一皿ずつ個別に出されて。席には必ずメニューが印刷されてた。)
Marc: Nine courses at a wedding. (日本語訳: 結婚式で9品も?)
サラ: They went all out. And that is before you count the live music and the flowers on every table. (日本語訳: かなり気合が入ってたね。それはライブミュージックや、テーブルに飾られた花は数に入れないで。)
Marc: And the dress change. I have seen that part. (日本語訳: そして衣装チェンジ。その部分は見たよ。)
サラ: Oh, the dress change. Halfway through, Keiko-san disappeared. Just gone. And nobody was surprised except me. (日本語訳: あー、衣装チェンジね。途中で、ケイコさんがいなくなったんだ。本当にいなくなった。私以外は誰も驚いてなかったけど。)
サラ: I genuinely asked the person next to me if she was okay. And they said, she is changing. (日本語訳: 隣の人に、彼女大丈夫かなって本気で聞いたんだ。そしたら、『着替えてるのよ』って言われた。)
サラ: And she came back in a deep red kimono with gold on it, and Marc, I made a sound. Out loud. (日本語訳: それで、彼女は金色の装飾が施された濃い赤の着物で戻ってきたんだけど、マーク、私、声出しちゃったの。声に出して。)
サラ: She had gone from all white to that, and she completely stole the show. Twice, in one afternoon. (日本語訳: 真っ白な衣装から一変して、彼女は午後に二度も、完全に場をさらっていったわ。)
さゆり: お色直しですね。白無垢から色打掛へ。白は嫁ぎ先の色に染まる前の姿、色打掛は新しい家庭に入った姿を表すと言われています。
サラ: It is a great piece of theater. They turn the lights down, she walks back in, and the whole room turns to look. (日本語訳: 最高の舞台劇よ。照明が暗くなって、彼女が戻ってくると、部屋中の人が振り返るの。)
Marc: That is exactly on cue. (日本語訳: まさにそのタイミングだったんだね。)
サラ: Right on cue. Every single head at once. And she was lit like a movie. (日本語訳: ぴったりよ。一斉にね。彼女は映画のようにライトを浴びていたわ。)
さゆり: 「On cue」は「まさにそのタイミングで」「合図通りに」という意味です。演劇の「きっかけ」という言葉から来ています。
Marc: Okay, so where does the emotion come in? You said you were wrong. (日本語訳: なるほど、それで感情がどう絡んでくるんだ?君は自分が間違っていたと言った。)
サラ: The last twenty minutes. There is a part near the end where the bride reads a letter. (日本語訳: ここ20分くらいよ。終盤に花嫁がお手紙を読むパートがあるの。)
Marc: A letter to who? (日本語訳: 誰に宛てた手紙?)
サラ: To her parents. Out loud. She stands up, she holds a piece of paper, and she reads a letter to her mother and her father. (日本語訳: 両親へよ。声に出して。彼女は立ち上がって、紙切れを持って、お母さんとお父さんのための手紙を読むの。)
さゆり: 花嫁の手紙ですね。育ててくれたご両親へ、感謝の気持ちを手紙にして読み上げる。披露宴でいちばんの山場です。
Marc: And she got through it? (日本語訳: それで、最後まで読めたの?)
サラ: She choked up in the second paragraph. She stopped completely. And nobody rushed her. Nobody said a word. (日本語訳: 2段落目で言葉に詰まってしまったの。完全に止まってしまって。でも誰も急かさなかった。誰も何も言わなかった。)
サラ: The room just waited. For maybe fifteen seconds, a hundred and twenty people sat in complete silence and let her cry. (日本語訳: 部屋中が待ったの。15秒くらい、120人くらいの人が完全に静まり返って、彼女が泣くのを許したの。)
サラ: Fifteen seconds is forever. And then she picked it back up and finished it. (日本語訳: 15秒なんて永遠だわ。それから彼女はまた手紙を拾い上げて、最後まで読んだのよ。)
サラ: I did not understand most of the words. I caught maybe a third of them. And I was gone. Completely gone. (日本語訳: 言葉のほとんどは理解できなかった。3分の1くらいしか聞き取れなかったわ。それでも私はもうダメだった。完全にダメ。)
Marc: You were crying. (日本語訳: 泣いてたんだ。)
サラ: I was crying at a wedding where I could not follow the speech, for a woman I had known for two years. (日本語訳: 2年間知っていた女性のために、スピーチの内容を理解できない結婚式で泣いていたのよ。)
さゆり: 言葉が全部分からなくても、伝わるものはあるんですね。
Marc: And the rest of the room? (日本語訳: 部屋の他の人たちは?)
サラ: I looked up and there was not a dry eye in the house. Her father had his hand over his face. Her boss was crying. (日本語訳: 見上げたら、会場の誰もが泣いていたわ。彼女のお父さんは顔を手で覆って。彼女の上司も泣いていた。)
サラ: The man who had been running that schedule for three hours was standing at the side of the room, crying. (日本語訳: 3時間もそのスケジュールをこなしていた男性が、部屋の隅に立って泣いていたの。)
サラ: The whole room went at once. And that is when I understood what I had gotten wrong. (日本語訳: 部屋全体が一度にそうだった。そこで、自分が何を間違って理解していたのか、わかったのよ。)
Marc: Which was? (日本語訳: 何が?)
サラ: I thought they were not emotional people. They were saving it. All of it. For one specific place. (日本語訳: 感情がない人たちだと思ってたんだ。彼らはすべてを、すべてを、ある特別な瞬間のために取っておいていたんだよ。)
さゆり: 感情がないのではなくて、出す場所が決まっている。これは日本の文化を語るうえで、とても大事な視点だと思います。
Marc: Say more about that, because I think that is the whole story. (日本語訳: もう少し詳しく教えて。それがすべてを物語っていると思うから。)
サラ: In New York, a wedding is emotional from the first toast to the last song. It is four hours of loud feeling. (日本語訳: ニューヨークでは、結婚式って最初の乾杯から最後の曲まで感情的なものなんだ。4時間ずーっと激しい感情の渦。)
サラ: This was three and a half hours of control, and then twenty minutes where everybody let go at exactly the same time. (日本語訳: この結婚式は3時間半は抑えられていて、その後20分だけ、みんなが同時に解放されたんだ。)
サラ: The second one destroyed me. When everyone holds it in and then releases it together, it lands like a wave. (日本語訳: 2つ目の結婚式は私を打ちのめしたわ。みんなが感情を溜め込んで、それを一斉に解き放つと、波のように押し寄せるんだ。)
さゆり: 堪えていたものが一斉に溢れる瞬間ですね。日本語では「胸がいっぱいになる」という言い方をします。
Marc: So you were not watching a cold wedding. (日本語訳: じゃあ、あなたは冷めた結婚式を見ていたわけじゃないんだね。)
サラ: I was watching a wedding that was building the entire time. I just could not read the build, because I did not know the shape. (日本語訳: 私はずっと盛り上がっていた結婚式を見ていたのよ。ただ、その盛り上がりが読めなかった。だって、その「形」を知らなかったから。)
サラ: Now I know the shape. And I would go to a hundred more. (日本語訳: 今ならその「形」がわかる。だからあと100回くらい行けるわ。)
Marc: What happened at the end? Did people just leave? (日本語訳: 最後はどうなったの?みんなそのまま帰ったの?)
サラ: The couple and both sets of parents stood at the door and thanked every single person on the way out. (日本語訳: 新郎新婦と両家の親がドアに立って、出ていく一人一人に感謝の言葉を伝えていたんだ。)
サラ: And then they handed me a bag. A big paper bag with gifts inside it. (日本語訳: それで、私に袋を渡されたんだ。中にお土産が入った大きな紙袋。)
サラ: The guests get gifts. I paid thirty thousand yen and I walked out with a present. (日本語訳: ゲストがお土産をもらえるんだ。私は3万円払ったのに、プレゼントをもらって帰ることになったのよ。)
さゆり: 引き出物ですね。ゲストへの感謝の品です。カタログギフトなどが入っていて、お帰りのときに手渡されます。
Marc: What was in it? (日本語訳: 中には何が入ってたの?)
サラ: A catalog you order from, and a box of sweets. And I carried it home on the train like a trophy. (日本語訳: 注文するためのカタログと、お菓子の箱。それをトロフィーみたいに電車で持って帰ったわ。)
サラ: I sat on the Chuo line with this enormous bag on my lap, and I just sat there and took it all in. (日本語訳: 中央線でこの巨大な袋を膝に乗せて座って、ただぼーっとして、すべてを噛みしめていたの。)
Marc: What were you thinking about? (日本語訳: 何を考えていたの?)
サラ: That four hours earlier I had been terrified of doing something wrong. And I had not done one single thing wrong. (日本語訳: 4時間前は何か間違ったことをしやしないかって怯えていたのに、何も間違ったことはしていなかったんだって。)
Marc: Because you prepared. (日本語訳: 準備をしたからだね。)
サラ: Because I prepared, and because I followed everybody's lead, and because being quiet is allowed here. (日本語訳: 準備をしたこと、そしてみんなの動きに合わせたこと、そしてここでは静かにしていることも許されているからよ。)
サラ: In New York, being quiet at a party means something is wrong with you. Here, being quiet meant I was paying attention. (日本語訳: ニューヨークでは、パーティーで静かにしてると、なんかおかしいって思われるんだ。ここでは、静かにしてるってことは、ちゃんと話を聞いてるってことだったの。)
さゆり: それが今日のいちばん大事なところかもしれません。静かにしていることが、無関心ではなく敬意になる。
さゆり: では、今日出てきた表現をまとめましょう。サラとマークに、使い方を見せてもらいます。
サラ: "I did my homework." (日本語訳: 「宿題をやる」)
Marc: When you prepare properly for something instead of just showing up and hoping for the best. (日本語訳: 何かを、ただ成り行きに任せるんじゃなくて、ちゃんと準備するってことだね。)
サラ: I did my homework for that wedding for two solid weeks. Envelope, dress, phrase, all of it. (日本語訳: あの結婚式のために、2週間みっちり宿題やったのよ。封筒も、ドレスも、セリフも、全部。)
さゆり: 「事前にきちんと調べて準備した」という意味です。宿題だけでなく、仕事の下調べや旅行の準備にも使えます。
サラ: "Down to the last detail." (日本語訳: 「細部まで」)
Marc: When something is planned or known completely, with nothing left vague. (日本語訳: 何かを、曖昧なところが残らないくらい、完全に計画したり、把握したりすることだね。)
サラ: That reception was planned down to the last detail. There was a printed schedule with times on it. (日本語訳: あの披露宴は、細部まで計画されてたんだよ。時間も書かれたスケジュールがあったくらい。)
さゆり: 「細部にいたるまで」「一分の隙もなく」という意味です。計画や準備の完成度を言うときによく使います。
サラ: "Follow someone's lead." (日本語訳: 「人のやり方に従う」)
Marc: When you do what another person is doing, because they know the situation better than you do. (日本語訳: その状況をあなたよりよく知ってる人がやってることを、あなたもやるってことだね。)
サラ: I followed the woman next to me for thirty minutes. When she bowed, I bowed. (日本語訳: 隣にいた女性のやり方に30分間従ったわ。彼女がお辞儀したら、私もお辞儀した。)
さゆり: 「人のやり方に合わせる」「その人について行く」。作法が分からない場面での、いちばん安全な戦略ですね。
サラ: "Go all out." (日本語訳: 「全力を尽くす」)
Marc: When you put everything you have into something, instead of doing the minimum. (日本語訳: 最低限のことしかしないんじゃなくて、持ってるものを全部何かに注ぎ込むってことだね。)
サラ: They went all out. Nine courses, live music, two outfits, and a gift bag for every guest. (日本語訳: 彼らは全力を尽くしたわ。9品コースに、生演奏、衣装2着、ゲスト全員にギフトバッグまであった。)
さゆり: 「全力でやる」「出し惜しみせず思い切りやる」という意味です。お祝い事にぴったりの表現ですね。
サラ: "Steal the show." (日本語訳: 「主役を食う」)
Marc: When one person or one moment becomes the best part of the whole event. (日本語訳: 誰か一人や、何か一つが、イベント全体の中で一番良い部分になることだね。)
サラ: The red kimono stole the show. And she had already stolen it once that day in white. (日本語訳: あの赤い着物が主役を食ってたわ。しかも彼女、その日すでに白でも一度主役を食ってたのに。)
さゆり: 「主役をさらう」「その場でいちばん目立つ」という意味です。もともとは舞台から来た表現です。
サラ: "On cue." (日本語訳: 「タイミングよく」)
Marc: When something happens at exactly the right moment, as if somebody had planned it. (日本語訳: まるで誰かが計画したかのように、まさに正しい瞬間に何かが起こることだね。)
サラ: The lights went down and every head in the room turned, right on cue. (日本語訳: 照明が落ちて、部屋中の頭が、まさにタイミングよく、そっちを向いたわ。)
さゆり: 「まさにそのタイミングで」「合図通りに」。演劇の「きっかけ」を意味する言葉から来ています。
サラ: "Choke up." (日本語訳: 「感極まる」)
Marc: When emotion makes it hard to speak. Your voice stops working for a second. (日本語訳: 感情がこみ上げてきて、声が出なくなっちゃう時。)
サラ: I choked up before she even finished, and I could not read a word of that letter. (日本語訳: 彼女が話し終える前に、私はもう言葉に詰まっちゃって、手紙の文字なんて一つも読めなかったよ。)
さゆり: 「感極まって声が詰まる」という意味です。泣くほどではなくても、胸がいっぱいで言葉が出ない状態を表します。
サラ: And the last one. "There was not a dry eye in the house." (日本語訳: そして最後は「There was not a dry eye in the house.」)
Marc: When everyone in the room is crying. It is a little dramatic on purpose. (日本語訳: 部屋にいるみんなが泣いてる時だね。ちょっとわざとらしいくらいがちょうどいい。)
サラ: By the end of that letter there was not a dry eye in the house. Including the man running the schedule. (日本語訳: その手紙の最後には、もう部屋中が涙、涙だったよ。スケジュールを仕切ってた男性でさえもね。)
さゆり: 「会場じゅうが涙していた」という意味です。少し大げさに言う、決まった言い回しです。
さゆり: 今日は、サラが初めて日本の結婚式に出たお話でした。準備に二週間かけて、挙式では三十分間ずっと人の真似をして、最後の二十分で泣いた一日でしたね。
サラ: I went in thinking I was going to a party. I was going to a ceremony that a hundred and twenty people were running together. (日本語訳: 私はパーティーに行くつもりでいたんだ。120人も集まる式典に行くんだと思ってた。)
Marc: And you had a job in it too. (日本語訳: しかもあなたもその中で役割があったんだよね。)
サラ: I did. My job was to show up prepared, stay quiet, and pay attention. That is a real job. (日本語訳: そうだったの。私の役割は、準備をして、静かにして、ちゃんと注意を払うこと。それが本当の仕事なんだ。)
Marc: That is the part I would not have understood five years ago. (日本語訳: そこが5年前の私だったら、絶対理解できなかった部分だね。)
サラ: I would not have understood it two years ago either. I would have been the loudest person in the room. (日本語訳: 2年前の私だってそうだったよ。部屋で一番うるさかったのは私だったと思う。)
さゆり: 日本の結婚式は、静かに見えて、感情の置き場所が決まっているだけなんですね。サラのお話を聞いて、私も改めてそう思いました。
サラ: If you ever get invited to one, do your homework, follow everybody's lead, and bring something to wipe your face with. (日本語訳: もし招待されたら、ちゃんと宿題をして、みんなの様子を見て、顔を拭くものを持っていきな。)
さゆり: みなさんも、知らない文化の場に呼ばれたら、ぜひ行ってみてください。分からないなりに、その場にいることが、いちばんの敬意になります。
サラ: Say yes to the invitation. You will not regret it. (日本語訳: 招待されたら、ぜひ「はい」って言って。後悔はしないよ。)
Marc: See you next time. (日本語訳: じゃあまた次回。)
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